こんにちは、ポツンママです。
今日はペアレントトレーニング第3弾、「言うことを聞かない子供に有効な指示の仕方」について書いてみます。
ペアレントトレーニング第1弾・第2弾はこちら。
この記事の目次
家庭でできるペアレントトレーニング:前半のおさらいと後半のテーマ
前半(おさらい)
- 子供の行動を好ましい行動・好ましくない行動・許しがたい行動の3つに分ける
- 好ましい行動をしたら「すぐに」ほめる
- 子供が好ましくない行動をしても注目しない(無視をする)
- タイミングを見て「ほめる」と「注目しない」を使い分け、子供の好ましい行動を増やす
ペアレントトレーニングでは、「ほめる」ことを基本とし、発達障害を持つ子供の困った行動を減らしていくための対処法を学びます。
前半はこの4つについて見ていきました。
後半(今回のテーマ)
- 静かにおだやかに指示をする
- 選択肢を出して行動を選ばせる
- がんばり表(よりよい行動のための表)をつくる
- 好ましくない行動・許しがたい行動を制限する
ペアレントトレーニング後半は「効果的な指示」と「自主性」を中心にまとめてみようと思います。
ステップ5:静かにおだやかに指示をする
人生経験を積んできたママは、子供が生活面や勉強面などで行き届かない様子を見ると、ついあれこれと指示を出したくなってしまいます。
「宿題が終わっていないのにテレビ観ちゃダメって言ったでしょう!すぐに消しなさい!」
いきなりこのような怒り口調で強い言葉をぶつけられても、子供はすぐに従えません。
ある程度年齢が上がってくると、口答えもするようになってきます。
大人でもいきなり怒りをぶつけられるとびっくりして委縮してしまうか、もしくは理不尽だと感じたら反論したくなりますよね。
これは子供も同じです。
同じ内容のことを言われても、素直に聞いてもらえる人となかなか受け入れてもらえない人の違いは何でしょうか?
それは『伝え方』です。
素直に聞いてもらえる人の伝え方は「穏やかな口調」「簡潔でわかりやすい」「具体的な内容」など聞く人の立場に立ったポイントを押さえています。
特に、発達障害を持つ子は同時に複数のことを理解できないなどの特徴があるので、指示を出すときもその点を理解して話してあげると効果的に伝わります。
効果的な指示の出し方
- イライラ・怒った口調で指示しない
- 何をするかという「行動」を指示してあげる
- 行動についての指示は具体的に、「ちゃんとしなさい」ではなく「シャツが出ているからしまおうね」
- 指示は「○○しようね・しようか」など、押し付ける言い方にしない
- 「ランドセルを置いて、手を洗って…」と同時に複数の指示を出さない
- 見通しを立てるのが苦手な子には「何時何分になったら」「あと何回で」など具体的な指標を伝える
- 言葉での指示が通りにくい子は、絵カードなどのグッズで指示を「目で見て」理解させることも有効
指示のポイントCCQ
- Calm(穏やかに)
- Close(近くで)
- Quiet(静かに)
言うことを聞かない子にイライラすること、本当によくありますよね。
でもそんなときこそ、心を落ち着けましょう。
怒りというのは突発的に沸いてくるものですが、怒ったときはこうしようという対処法を事前に考えておくと、冷静さを取り戻すことができます。
心が落ち着いたら、子供のそばに行って静かな声で指示をします。
毎日忙しいママは、つい遠くから声を掛けるだけの指示をしてしまいがちですが、子供に「言うことを聞いてほしい」と望むのであれば、子供のそばに行って目を見て指示をしましょう。
子供のそばで話すので、大きな声も必要ありません。
一度では聞かなくても、繰り返しCCQで伝えます。
目をそらさず子供を見つめて指示をすると、子供に真剣さが伝わり、指示を聞くようになります。
指示を聞いて行動に移すことができたら、子供をほめることを忘れないようにしましょう。
ステップ6:選択肢を出して行動を選ばせる
子供が自主的に課題に取り組んだり、気持ちを切り替えて行動を起こしたりするのは難しいものです。
重い腰がなかなか上がらないときは、子供に選択肢を出して選ばせてみる方法を試してみましょう。
- これから出かけるというときに着替えが進まないなら、「青いTシャツと白いTシャツどっちにする?」
- なかなか歯みがきをしたがらないなら、「パパとママどっちが磨く?」
- 自分で身支度ができるけど、気まぐれで手伝ってもらいたがるなら、「自分でやる?ママがやる?」
- お風呂に入るなら、「ごはんの前?ごはんを食べた後?」
ここでのポイントは、「楽しいことと取り組みにくいこと(やらなければいけないこと)を並列しない」ことです。
誰だって楽しいことを優先したいですし、やらなければいけないことには及び腰になるもの。子供ならなおさらです。
「ゲームと宿題」だったら、出木杉君でもない限り、ゲームを優先したい子の方が圧倒的に多いので、最初から選択肢に並べることはしません。楽しいことの後にやらなければいけいないことをするのは苦痛です。
順番は宿題→ゲーム、楽しいことは後のお楽しみに。ここは譲らないことが鉄則です。
子供に自主的に動けるようになってほしい、と親は願うものですが、言わなくても最初から動ける子はほとんどいません。
選択肢を出して自分で選ぶことも、気が進まないことに対して取り組んでいるので「好ましい行動」と言えます。
幼児はもちろん、小学生もまだまだ親の手助けが必要な時期です。
好ましい行動が増えてくれば少しずつ自主性が身についてくるので、時に手を貸しながら焦らず見守っていきましょう。
ステップ7:がんばり表(よりよい行動のための表)をつくる
トイレトレーニングで、「上手にトイレができたらシールを貼ろう」というシートを使ったことがあるママもいると思います。
シールを1つ貼れるだけでも子供は喜んでトイレの練習をしますよね。
それを応用したようなもので、ペアレントトレーニングではがんばり表(よりよい行動のための表)をつくって子供のやる気を引き出し、子供の好ましい行動を増やしていきます。
がんばり表の作り方
- 子供の行動を書き出す
- 子供が喜んでする行動・ときどきする行動・ほとんどしない行動に分ける
- 喜んでする行動(今できている行動)を3~4つ選ぶ
- ときどきする・ほとんどしない行動の中から改善したい行動を2~3つ選ぶ
- 全部で5~7つの項目を作る
- 縦に行動・横に曜日を書き、一週間の表にする
- 項目がクリアできたらシールを貼る
がんばり表のポイント
項目の半分は喜んでする行動(今できている行動)にします。
必ずシールを貼れる項目を作ることで子供に達成感が得られ、他の行動もがんばる意欲が湧きます。
家族が見えるところに貼る
がんばり表は家族みんなが見えるところに貼ります。
取り組む行動が視覚化されているので、次に何をすればいいか子供自身がわかり、行動を起こしやすくなります。
がんばりが達成できたら、シールを渡すのと同時に「がんばったね」とほめてあげると、やる気が更にアップ。
ステップ8:好ましくない行動・許しがたい行動を制限する
好ましくない行動・許しがたい行動がどうしても直らない場合は、子供の行動を制限します。
でも、最初からいきなり制限はしません。
いくつかの段階を経て改善が見込めないときに、最終手段として制限をかけます。
おもちゃを片付けずにテレビを観ていたとしたら、
- おもちゃはそのままにして見守る(ママは片付けない・ここでは何も言わない)→ここで片付けたらほめる
- 「おもちゃをお片付けしようか」と指示を出す→ここで片付けたらほめる
- 「おもちゃを片付けないなら、1時間テレビを消します」と警告をする→ここで片付けたらほめる
- 警告にも従わなければ、ここで初めて制限をする=ペナルティを与える
制限のポイント
「片付けないならおもちゃを捨てるよ」は、子供に言えばすぐに従いますが、子供にとっては厳しすぎます。
この制限をすると、ずっとそのおもちゃを取り上げることになるからです。
制限をするときは、子供を傷つけない一時的な制限にします。
この制限の目的は、「自分の行動の責任は自分で取らせる」ことです。
ペナルティを与えられたという『結果』から、なぜそうなったか(原因)とどうすればよいか(改善策)を考えることで、好ましくない・許しがたい行動を減らしていきます。
まとめ
今回は、「具体的でわかりやすい指示の伝え方」「子供が取り組みやすい選択」「がんばりを認める表の作り方」「行動の制限」について見ていきました。
言葉での指示を理解するのが苦手な発達障害の子は多いのではないでしょうか。
私の子供たちも例にもれず、指示を出すときはかみ砕いて、面倒でも1つずつ出さないと行動に移せませんが、端的に穏やかに伝えると素直に従ってくれます。
命令ではなく指示で、しなさいじゃなくて「しようか」と伝えるのが、親子ともに穏やかでいられるポイントかなと思っています。
言い方といえば、「宿題しなさい」じゃなくて「宿題やった?」と確認という形にしてみるのも、ギスギスしなくていいかもしれません。「宿題やったの?」だとちょっと詰め寄るかんじになってしまうので、「の」はないほうがいいかも。細かいことですが。
それでも、冷静でいられないときもあるので、自分もまだまだ精進が必要です。