個人事業主も扶養に入れる?税金と社会保険の要件をチェックしよう!




こんにちは、元事務員のポツンママです。

年末まであと2ヶ月、そろそろ夫の会社で年末調整の書類が渡される時期になりました。
社会保険についても、先日被扶養者の検認があったばかり。

今日は税金と社会保険の扶養についてまとめてみようと思います。

扶養は2種類あるって知ってた?

私は前職で社会保険と税務会計を担当しており、ときどき社員に「妻を扶養に入れてください」とお願いされていました。

主婦が扶養に入るって、実は2種類あるんです。
所得税の扶養と、社会保険の扶養。

ここをきちんと理解しておくと家計を節約でき、生活する上で有利になるのでぜひ押さえておきましょう。

所得税の扶養

まずは、年末調整に関係する所得税の扶養から。

正式には「配偶者控除」と言いますが、ここではわかりやすくするために、税金の扶養・税法上の扶養という言葉で説明していきます。

法改正があります 2017.11.10追記

この記事は、夫婦ともに税金が掛からない『103万円』を税金の扶養要件として書きました。
平成30年から配偶者控除が変わります。

くわしくはこちら。

150万円の壁に騙されちゃダメ!パートを増やすと税金取られますよ!

2017年11月9日
 

妻がパートでお給料をもらっている場合

パート主婦の間で話題になる『103万円の壁』という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

これは1月1日~12月31日の期間において、パート先からもらうお給料の合計が103万円までだったら所得税は掛からないよということ。
つまり、共働きで夫婦ともに収入を得ていても、103万円までなら妻の分はほとんど家計に入れられるということなんです(住民税は課税される可能性があります)。

ポイントはパート・アルバイトなどでお給料をもらうというところ

所得を得る手段がお給料以外の場合は、この『103万円の壁』には当てはまりません。

妻が個人事業主の場合

個人事業主は、「事業を行って所得を得ている個人」のことを言います。
税務署に開業届を出して、個人として事業を営んでいることを届け出ている人ですね。

個人事業主の場合、所得を得る手段が事業だったり不動産の貸付であったり様々ですが、いずれも収入から必要経費を差し引いて所得を出します。

収入 - 経費 = 所得 です。

個人事業主の妻が、夫の税法上の扶養に入るには、この所得が38万円以下である必要があります。

収入と所得って似たような言葉で混同されやすいので、例を出して解説してみます。
(理解しやすくするために、白色申告と仮定して説明します)

所得の計算

妻は小さな雑貨屋さんを営んでいます。

  • お客さんに雑貨を売って得たお金が180万円(収入)
  • 問屋さんから雑貨を仕入れたお金が80万円(経費)
  • テナント料が60万円(経費)
  • 光熱費が10万円(経費)
  • お店を営むのに必要な消耗品費が5万円(経費)

この妻の所得は、

180万円-80万円-60万円-10万円-5万円=25万円 となります。⇒扶養に入れる

38万円って何?

税金の扶養の話になると「所得が38万円以下」というキーワードがよく出てきますが、この38万円という数字は何でしょうか。

これは『基礎控除額』と言い、年間の所得額や所得を得る方法に関わらず、所得を得ている人はみんな一律で38万円差し引きましょうという法律で決められた金額です。

これがなかったらパート主婦の人は65万円以上のお給料で扶養から外れることになってしまいますので、ありがたい法律ですね。

給与所得者と自営業者の扶養要件の違い

  • 給与所得者が扶養に入る場合、収入が103万円まで
  • 個人事業主の場合、収入の上限はなし
  • 個人事業主は収入から経費を差し引いた所得が38万円以下であればOK

厳密に言うと、扶養の要件は給与所得者も所得が38万円以下ですし、国税庁のHPや年末調整のしかたが書いてある書類にも「所得が38万円以下」と書かれています。

でも、所得とはどういうものなのかというのがややわかりにくいため、世間一般ではイメージが湧きやすい「お給料が103万円以下」という言い方がされているのだと思います。

補足:給与所得者の所得の出し方
給与所得者も基本的には 収入-経費=所得 という考え方です。

会社から給与をもらっている人は仕事のために支出した経費を計算することが難しいので、国が定めた「給与所得控除」というものを経費として差し引きます(控除額は年収に応じて変動)。

給与 - 給与所得控除額 = 所得

なぜ『103万円の壁』なのか?

所得税を計算するときは、所得からさらに所得控除を引いて税額を算出するための課税標準というものを出します。給与が103万円までの場合、

(給与 103万円以下)-(給与所得控除額 65万円)-(基礎控除額 38万円)=0円もしくはそれ以下となり、この時点で税金が発生しないことがわかります。
※年収162.5万円までは給与所得控除額が65万円。

そのため、税金が発生しない65万円+38万円=103万円がボーダーと言われるのです。

社会保険の扶養

社会保険の扶養は『130万円の壁』と言われます。
103万円と130万円、ちょっとややこしいですね。

公的な保険には大きく分けて社会保険(健康保険)と国民健康保険がありますが、扶養の仕組みがあるのは社会保険だけです。
国民健康保険には扶養という概念そのものがないので、夫が自営業者の場合、妻は扶養には入れません。

社会保険の扶養に入るメリットは主に2つ。

  • 夫の会社が加入している社会保険に負担額なしで入れる
  • 国民年金の第3号被保険者になれる

こちらを1つずつ説明していきます。

夫の会社が加入している社会保険に保険料負担なしで入れる

日本には、「国民皆保険」という制度があります。
「一人ひとつ公的な医療保険に入りましょう」という主旨の制度で、この制度のおかげで私たちは最低限の医療が保障されています。

けがや病気をしても医療費(窓口負担額)が3割で済んでいるのは、公的な医療保険に加入しているからです(残りの7割は、被保険者や事業主が納めている保険料でまかなっています)。

本来、保険料を支払って加入する健康保険ですが、夫(被保険者)の扶養に入る(⇒被扶養者になる)と保険料を負担せずに、少ない医療費で公的な医療を受けられるのでとてもお得です。

国民年金の第3号被保険者になれる

20歳になったら国民年金に加入することが義務付けられていますが、国民年金の加入者は3種類あります。

  • 第1号被保険者 自営業者・学生
  • 第2号被保険者 サラリーマン・公務員
  • 第3号被保険者 主婦

社会保険で夫の扶養に入ると、第3号被保険者として国民年金に加入できます。
こちらも年金保険料の負担はありません。

国民年金の第3号被保険者になると、加入期間中、国民年金保険料を払っていたものとみなされ、年金受給時には国民年金保険料を払っている人と同額の年金を受け取ることができます。

2017年10月現在の国民年金保険料は16,490円です。
第3号被保険者になることで年間197,880円、およそ20万円節約できるのは大きい!

社会保険の扶養要件

協会けんぽ・健康保険組合ともに年間の収入が130万円以下を要件としています。
(ひと月単位に換算すると、月収108,333円まで)

ポイントは、向こう1年間の見込み収入が130万円以下という点。

税金の扶養の場合、収入を得る期間が1月1日~12月31日と決まっていますが、社会保険の扶養は今から1年後までという期間になっています。
だから、妻が長年勤めていた会社を12月15日に辞めて、翌日から専業主婦になるということでも加入OK。

ポツンママ
社会保険の扶養・ポイント

  • 扶養に入れる要件は健康保険組合や協会けんぽが独自に決めているので、加入している健保が変われば扶養に入れない可能性もある
  • 夫が被保険者・妻が個人事業主の場合、加入を認めているかは健保次第、加入を考えているなら健保に要確認
  • 一度扶養に入ったら、ずっとそのまま入り続けられるわけではない、収入超過など要件を満たさなくなったら脱退手続きが必要
  • 検認(要件を満たすかの確認)が毎年行われる健保もある
  • 協会けんぽの場合、検認は毎年行われるが収入証明不要でした(2016年度)
妻の分の保険料は誰が払ってる?
勘違いされやすい点ですが、妻(被扶養者)の分の保険料は、夫や夫の会社が別だてにして払ってくれているわけではありません。

加入している社会保険のすべての被保険者(サラリーマン)と事業主(会社)で、被扶養者(妻や子供など)の保険料を按分して負担してくれています。

サラリーマンは私たち被扶養者の健康保険料を払ってくれ、お給料から年金を納めて年金受給世代を支えてくれているのです。足を向けて寝られませんね。

まとめ

ひと言で「扶養に入る」と言っても、扶養の種類も要件もいろいろあります。

扶養に入ることを考えている主婦の方は、まず要件が当てはまるかチェックしてみてください。

そして、私たちが扶養に入れるのは「夫が会社に勤めてくれているから」です。

サラリーマンは、保険料(健康保険・年金ともに)を会社が半分支払ってくれるので自己負担額が少ない上、妻や子供たちの保険料も免除されているのでとても有利です。

妻や子供が健康保険を使って医療を受けられるのは、夫と夫の会社、そして健保加入者の皆さんのおかげ。

割安に医療を受けるのが当たり前と思わないよう、私たち被扶養者は感謝の気持ちを持って健康保険を使わせてもらいましょう。









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